高齢者の住まいの種類
高齢者の方向けの老人ホーム・施設はおもに「民間型の施設」と「公共型の施設」の2つに分類されます。
ここでは主に民間業者が運営する老人ホーム・介護施設・住まいについて解説します。
民間型の老人ホーム・介護施設の代表的なものとして「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「グループホーム」「健康型有料老人ホーム」の5つがあげられます。
これらの違いとは?自分に合った施設タイプはどれか?介護施設探しの材料としてこの記事をご活用いただければと思います。
介護施設選びにお悩みの方は、介護施設相談員に是非ともご相談ください!

介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホーム(かいごつきゆうりょうろうじんほーむ)とは、介護保険法に基づいて「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている老人ホームのことです。
介護が必要で、何らかの理由で家庭での生活が困難な方が、家庭の代わりとして暮らすことができます。
食事提供や掃除、洗濯などの身の回りの世話や、入浴や排泄などの介助サービスが受けられます。
入居対象 | 自立(※)、要支援(※)、要介護 |
---|---|
認知症の受け入れ | ○(場合による) |
看取り・ターミナルケア | △~○(場合による) |
入居一時金(目安) | 0円~数千万円 |
月額利用料(目安) | 15万円~30万円 |
主な施設ブランド |
グランフォレスト(スミリンフィルケア株式会社) トラストガーデン(トラストガーデン株式会社) ヒルデモア(東京海上日動ベターライフサービス株式会社) ウェルケアテラス(株式会社サンケイビルウェルケア) アズハイム(株式会社アズパートナーズ) そんぽの家(SOMPOケア株式会社) アライブケアホーム(株式会社アライブメディケア) エクセレント(株式会社エクセレントケアシステム) ベストライフ(株式会社ベストライフ) ツクイ・サンシャイン(株式会社ツクイ) ライフコミューン(株式会社 木下の介護) ニチイケアセンター(株式会社ニチイ学館) サンライズ・ヴィラ(ライクケアネクスト株式会社) ほか |
介護付有料老人ホームの特徴
介護付有料老人ホームには
要介護の方のみを受け入れる「介護専用型」の施設と、
自立や要支援の方も入居対象に含む「混合型」の施設があります。
介護付有料老人ホームの特徴は、施設ごとにサービスが多様だという点です。 例えばある施設ではリハビリに力を入れていたり、別の施設であ医療面受け入れ体制を充実させています。 高級志向の施設、少人数の施設、イベントやレクリエーション豊富な施設も存在し、幅広い選択肢が用意されています。
介護付有料老人ホームの料金
料金面も施設ごとに異なりますが、介護費用は介護度による「定額制」で、収入によって1割~3割が自己負担となります。※外部サービスは利用できません。
入居一時金・月額利用料の金額は、その施設の立地や提供サービスにより異なります。 また、料金プランが2つ以上用意されている場合も少なくありません。 ご入居者様やご家族様のご予算に合わせた施設・料金プランをお選びください。
ポイント
①介護が必要な方向けの施設です
②施設ごとにサービスが多種多様
③入居条件が施設ごとに異なるため、入居可能な介護度や年齢、医療面受け入れ体制の確認が必要
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム(じゅうたくがたゆうりょうろうじんほーむ)とは、自立から要介護と幅広い介護度の高齢者を受け入れている施設です。
生活援助や緊急時の対応、レクリエーションが受けられ、介護が必要な方は、訪問介護や通所介護(デイサービス)といった外部サービスを利用することもできます。
入居対象 | 自立、要支援、要介護 |
---|---|
認知症の受け入れ | △ |
看取り・ターミナルケア | △ |
入居一時金(目安) | 0円~数千万円 |
月額利用料(目安) | 10万円~25万円 |
主な施設ブランド |
グッドタイム・リビング(オリックス・リビング株式会社) ガーデンテラス(シマダリビングパートナーズ株式会社) あずみ苑(株式会社レオパレス21) イリーゼ(HITOWAケアサービス株式会社) ご長寿くらぶ(株式会社アーバンアーキテック) アシステッドリビング(株式会社ZENウェルネス) ホスピタルメント(株式会社桜十字) カーサプラチナ(株式会社ハートフルケア) ほか |
住宅型有料老人ホームの特徴
介護付有料老人ホームと違い、自立の方でも入居しやすく、介護が必要な方でも外部の介護サービスを自分で選択して利用できるので、自由度が高いのが特徴です。
ただ、介護職員が常駐しているわけではなく、また介護度が高くなると住み続けるのが難しくなるというデメリットもあります。
住宅型有料老人ホームの料金
介護サービス費は、在宅でサービスを受ける場合と同様に、介護度による支給限度額までは1割~3割負担(収入による)、それを超えると10割負担となります。
利用した介護サービスごとに料金が発生するため、支給限度額を超えると負担費用が一気に増えてしまいますのでご注意ください。
ポイント
①幅広い介護度で入居可能
②介護付有料老人ホームと類似
③入居一時金が他の施設タイプよりも高額の場合あり
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(さーびすつきこうれいしゃむけじゅうたく)は、バリアフリー対応の民営賃貸住宅です。主に自立~軽度の要介護状態に対応しています。
生活相談員が常駐しているため、入居者は安否確認や様々な生活支援サービスを受けることができます。
略称でサ高住(さこうじゅう)とも呼ばれます。
入居対象 | 自立、要支援、要介護 |
---|---|
認知症の受け入れ | △~× |
看取り・ターミナルケア | × |
入居一時金(目安) | 0円~数百万円 |
月額利用料(目安) | 10万円~30万円 |
主な施設ブランド |
グレイプス(東京建物シニアライフサポート株式会社) グランクレール(株式会社東急イーライフデザイン) そんぽの家S(SOMPOケア株式会社) ココファン(株式会社 学研ココファン) エイジフリーハウス(パナソニック エイジフリー株式会社) D-Festa(大和リビング株式会社) ふるさとホーム(株式会社ヴァティー) イルミーナ(ケアサポート株式会社) おおるり(株式会社バイ・スティックケアサービス) ほか |
サービス付き高齢者向け住宅の特徴
サ高住の特徴として、介護施設というよりはあくまで賃貸住宅という点です。自立の方でも入居しやすく、普通の賃貸住宅と同じようにプライバシーの守られた生活ができるのがメリットです。
介護が必要になった場合は、訪問介護や通所介護(デイサービス)といった外部介護サービスと別途契約し、利用します。
介護度が高くなると住み続けるのが難しくなることもあります。 ただ、サ高住の場合「一般型」と「介護型」の2種類があり、介護型の場合は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているので、要介護の方でも住み続けられるよう介護付有料老人ホームと同様のサービスが提供されます。
サービス付き高齢者向け住宅の料金
基本的に入居一時金は発生しません(場合によります)。その代わりに敷金をお支払いいただくことがほとんどです。入居時の負担が軽いのもサ高住のメリットです。 ※一般型と介護型によって金額が異なる場合がございますので、詳しい料金設定は一度お問い合わせください。
ポイント
①自立の方でも入居可能
②予算が低めでも入居が可能
③自宅のように自由度の高い暮らしをご希望の方は特におすすめ
グループホーム
グループホームとは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、認知症の知識を持つ専門スタッフによる身体介護と機能訓練、レクリエーションなどを受けることができる施設です。
認知症の進行の抑制を目的としている施設ですので、入所するには医師による認知症診断書が必要です。
入居対象 | 要支援(要支援2以上)、要介護 |
---|---|
認知症の受け入れ | ○ |
看取り・ターミナルケア | × |
入居一時金(目安) | 0円~数百万円 |
月額利用料(目安) | 15万円~30万円 |
主な施設ブランド |
ツクイのグループホーム(株式会社ツクイ) ミモザ(ミモザ株式会社) みんなの家(株式会社ウイズネット) フローラ・メディカルフローラ(株式会社関東メディカル・ケア) ほか |
グループホームの特徴
グループホームは、原則として「要支援2以上」「65歳以上」「施設がある自治体に住民票を持つ方」が入居できます。
認知症の高齢者が5~9人を1ユニットとして、料理や掃除などの家事を分担し小規模な共同生活を送る住まいです。
また、専門スタッフから介護サービスや機能訓練を受けて、認知症の症状を遅らせることを目指します。
介護度が重くなったり、医療面でのケアが必要になった場合、退去しなければならないこともあります。
グループホームの料金
グループホームは介護保険の地域密着型サービスに属し、介護サービスにおける費用は介護保険が適用されています。
ポイント
①認知症の方に入居が可能
②専門スタッフが常駐しているため、認知症に特化したケアが受けられる
③医療ケアは基本的に非対応
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホーム(けんこうがたゆうりょうろうじんほーむ)とは、家事手伝いなどのサポートが受けられ、日常生活を楽しむためのエンターテインメント設備が充実している施設です。
自立または要支援状態で入居が可能で、要介護状態になると退去となります。
入居対象 | 自立、要支援 |
---|---|
認知症の受け入れ | × |
看取り・ターミナルケア | × |
入居一時金(目安) | 0円~数千万円 |
月額利用料(目安) | 15万円~40万円 |
主な施設ブランド | スマートコミュニティ(株式会社スマートコミュニティ) ほか |
※健康型有料老人ホームは、有料老人ホーム全体のうち1%以下と、施設数自体が極めて低くなっています。
その他の民間型の施設
高齢者専用賃貸住宅
現在、「高齢者住まい法」改正により、サービス付き高齢者向け住宅への登録切り替えが行われています。
※サービス付き高齢者向け住宅については上記をご覧ください。
高齢者向け優良賃貸住宅
民間事業者や公団などによって設置・運営され、都道府県単位で認定された賃貸住宅です。
現在、「高齢者住まい法」改正により、サービス付き高齢者向け住宅への登録切り替えが行われています。
※サービス付き高齢者向け住宅については上記をご覧ください。
シニア向け分譲マンション
高齢者の方を対象としたバリアフリーの分譲マンションです。
分譲形式のため自己所有物件の扱いとなり、物件の売却・賃貸・譲渡・相続が可能です。
また、自己所有物件のため、介護度が重くなっても退去を迫られることはありません(在宅サービス等を利用して対応)が、場合によっては介護付有料老人ホームなどへの転居も考えなければなりません。
公共型の施設
公共型の介護施設には、以下のようなものがあります。
特別養護老人ホーム(特養)
要介護3、要介護4、要介護5の方のみ入所できる介護保険施設です。略称で「特養」とも呼ばれます。
重度の認知症の方でもご入所いただけます。
入居待機人数も比較的多く、実際に入所できるまでの期間が長くなってしまうのがデメリットです(※)。
また、医療ケアが日中だけでなく夜間も必要な場合、ご入所ができない場合もございます。
※特養の場合、入所の順番は先着順ではなく、緊急度の高い方からの入所になりますのでご了承ください。。
介護老人保健施設(老健)
退院後の在宅復帰を目的とした介護保険施設で、要介護1以上の方が入居対象となります。
あくまで在宅復帰のための施設なので、入所できる期間が限られています(例外あり)。
個々に合わせたリハビリをはじめとして、身体介護や生活援助(食事・入浴・排泄)を提供しています。
略称で「老健」とも呼ばれます。
介護療養型医療施設(療養病床)
あくまで医療機関であり介護施設ではございませんが、介護サービスは提供されます。
65歳以上で、医学的管理が必要な要介護1以上の高齢者の方が入所できます。
胃ろう、たん吸引、酸素吸入、鼻腔経管(経管栄養)などの医療ケアが充実していますが、待機人数も多いため、待機期間が長くなることもあります。
また、心身の状態が改善してきた場合には退所を求められる場合もございます。
2012年から新設が認められなくなり、施設数が減少しています。
養護老人ホーム
自立の方向け。身寄りがなく、自立した生活に不安のある高齢者の方が、自治体の助成で入居できる施設です。
予算低めで入居できるのが特徴ですが、月収34万円以下であること・身の回りの世話が自分でできることなど、地域や施設により条件があります。
食事提供ありの「A型」、食事提供無しの「B型」の2種に分けられます。
軽費老人ホーム
自立の方向け。軽費老人ホームの「B型」と同じ、つまり食事提供なしで、かつ軽費老人ホームと違い所得制限なしで入居できる施設です。軽費老人ホームC型とも呼ばれます。
軽費老人ホームと同じく自治体の助成を受けて運営しているので、入居金や家賃をお支払いいただく必要はあるものの、予算低めでご入居いただけます。
まとめ
以上が介護施設の代表的な種類です。一口に介護施設と言っても、種類ごとに中身が違ってくるものだと分かります。
介護施設の種類は、施設探しの重要なカギとなります。これらを踏まえ、「サービス・ケア」「予算・費用」「立地・アクセス」「その施設ならではの特長」など、自分が優先する条件と照らし合わせながら施設を探しましょう。
また、施設の空室数は日々変動しておりますので、気になっていた施設がいつの間にか満室…ということもございます。気になる施設はお早めに資料請求や見学予約、入居申込を行ってください。
入居の際に必要な入居一時金や月額利用料、その他にかかる費用などの金額は、施設の立地条件や設備の充実度、サービス内容によって様々です。
気になる施設があれば、まずは見学・体験入居をしてみて、設定されている料金に値するサービス内容かどうか・自分にとって住みやすい施設かどうかを見極めましょう!
分からないことや質問したいことがあれば、介護施設相談員にお気軽にご相談ください。